道具としてのカヤックの、ちょっとマニアックな話。その1

2008年1月20日 wrote
※カヤックに興味のない方は飛ばしてくださいね~^^昨年、三陸の海で漁師のトシちゃんが
手作りのベニヤ板カヤックに
グリーンランディック(風)なパドルで漕いできたので
「お、いよいよパドルも変えたの~?」って
パドルをみせてもらったときのこと。
でも見た目は一瞬、本物チックだけど、
パドル面がフラットだったので
「ト~シ~ちゃ~ん、ちょっと惜しいね~、
これ、ブレードの面にそれぞれ角度入れないと~」って言うと
実はどうやら、誰かが作ったのを
借りている、ということだった。
思わず、私が15年位前に写真から見よう見真似で作った
木のパドルを思い出してしまった。
カヤックは人の体型やスタイルに合わせて創るのは前提だけど
もともと、
その海の粘度(水温によって違ってくる)や、
氷の有無、漕ぐ場所の地形、風の特徴、目的などを
考慮して形がエリアによって体系づくられてきました。

パドルも同じです。
でもよく古典的なカヤックが大好きな方から
なんであんなに短いパドルを左右にずらして使うの?
とか、
なんであんなに細いの?
などと聞かれることもしばしば。
ナローパドルをあんまり日本では重宝されていない、
むしろ、FRPとかカーボンのナローを使っていると
スピードも出ないし、ちょっとダサいイメージさえある。
でもグリーンランドに行くと
その理由がすべてが納得するのだ。
まず、狩が目的なので、
狩中は
ゴチャゴチャ狩道具のなかにパドルを
コンパクトにまとめなくちゃいけない。
↓カヤックの上はこんな感じ。狩の道具でいっぱい!

ナローなら、すっとパドルも刺しやすい!
そして、数10kmの入り江がざらにある
フィヨルド地帯では
小さな曲がり角を越えた途端に
突風があらゆる角度から襲うことがあるので
水面から出ているパドル面をなるべく少なくするために
短くして左右ずらしていることもある。
(グリーンランドを旅していた女性のカヤッカーの友人LONEは
大きいブレードで漕いでいてこの突風にパドルがとれれて亡くなった。
この話はまた別の機会に記事にします)
氷がある海で、長いパドルは邪魔。だとか。
などなど、そのカタチになっているのには
いろんな理由があると思います。
そして、たかがパドルだけど
私が習ったH/C Petersenのパドルでは
フラットに見える部分にもちゃんと
なめらかに角度がつけられていて
水のなかでの推進性やスカーリングのしやすさ、
強度を保つため、などを
計算されて創られていた。
そして、最近はこんなレトロなスタイルも
流行りつつあるけど
日本の海でもこのようなパドルが必要か、となると
カヤックで養殖棚などの漁作業をしているトシちゃんには
十分、必要に思えるけど、
一般にレジャーとしてカヤックに乗る場合は
そんなに必要ないんじゃないか、と思うことも。
でも、今では時々大きいブレードを使う私も
グリーンランドの地形にちょっと似ている三陸を旅していて
ときどき突風が下から吹いてきたりすると
大きいブレードは力の弱い女性には
リスクが大きい、と感じてしまいます。
やっぱりどんな道具でも
見た目とかよりも目的にあわせてセレクトして使うのが
一番なのではないでしょうか。