和船の造船所から生まれる、和流QAJAQ!
2007年1月23日 wrote
以前も書いたけど私がグリーンランドで、
1200年続く伝統的なQAJAQ(カヤック)作りを習い
仕上がった際の作業の細やかさに、
エスキモーたちはそれを「日本車カヤック」と呼んだ。
くすっと笑いながら聞いていたけど、
エスキモーのいい加減さと、日本人ならではの細やかさを融合させた
そのカヤックは私にとって色んな想いが詰まったSOULそのものだった。
作業中、事故で耳がちげれ、血まみれになろうとも、
線と線が微妙な面を作り、それにより速さや安定感が変化していく辺りが
舟作りの楽しさを私に教えてくれた。
けして最近よくみる、
合板キットではなかなか出せない絶妙なラインがたまらなく美しく思えた。
そのカヤックは、今、地元・三陸の造船所にある。
和船を代々作ってきた、造船所の方と不思議な縁で知り合い、
彼らは今、カヤック作りに興味があり、
参考のために見たいというので預かって頂いている。
詳しく記載すると、
知り合った兄弟はまだ和船を修行中の段階で
そのお父様の棟梁が、和船づくりを今でも行っているという
稀少な造船所である。
私は先日、北上川河口の葦の原っぱを漕ぎに行った際、
何気なく漂う、和船が夕日にあたって美しく目に映った。
FRPの舟にはない、自然素材による舟は、アートだ。
やわらかで、しなやか。葦の原っぱに溶け込んで見えた。
しかし、
彼らに言わせると、
この世界三大漁業の一つ、三陸でさえも
和船を作れる棟梁は、唐桑の岩淵さん↓と
ここの造船所の親父さんしかいないそうだ。
詳しく和船の話をお聞きしていると、
若干、カヤックの舳先の部分の木の組み方が、
宮大工のような仕組みになっていて
ちょっと和船チックだな、と似ている印象を受けた。
QAJAQは、そのまま氷に滑るように上陸できるような
しなやかな作りになっている。
氷の浮かばない三陸ではそれは必要ない。
砂浜の少ない、三陸の海で必要とされるのは、
ゴロタの石でも上陸できる強さと、
波に対しての安定感だと思う。
そんな三陸の海に合わせた
和船の技術を融合させたQAJAQができたら面白いな~。
和船の造船所から生まれる、和流QAJAQ。
昨年からカヤックを初めて、最近カヤックに興味をもっている女の子も一緒に行き
皆でパドル作りから始めることになった。
お、SORAの手しごとの会、
今度はエスキモーの伝統×和船技術の融合の道具作りまで発展になるか?!
大工仕事が素人の女の子たちが、
棟梁たちに混じって
こんなすごい工場を使わせていただいて
同じ空間で一緒にモノ作りに参加していいのだろうか。
しかし、兄弟たちは新たなメンバーを快く受け入れてくれた。
私も現地の「エスキモーカヤックの作り方」なる本を
もう一度、掘り出してみるか。
そして、ここで生まれた舟で
三陸の南端である、この造船所の桟橋から出発し、
三陸を北上し旅へ出れたら、すばらしい!
しかも、ビーチ*コーミングしながら漕ぐことで
ゴミや汚物を垂れ流す漁師さんにも何かが伝わるだろう。
それは「六ヶ所村のたれ流し問題」をどうくいとめるか、という問題の前に
海や街で暮らす人が本当に海を大切にしているか、という点で
もっと身近に私たちがすぐに実現できることがもっとあるのではないか、という
大切な気づきやメッセージになるかもしれない。