南米ホーン岬をシーカヤックで周ったときのこと・・・

今日、大掃除をしていたら、懐かしい写真がでてきた。

それは96年に、南米の最南端にある、ケープホーンという

船乗りには有名な岬をシーカヤックで周ったときの写真だった。



まだその頃は、<そういう状況に自分をおいたら、どんな感情が湧くんだろう>、

と自分を試してみたい時期で若かった・・・。

だから、無謀にもホーン岬を最終アタックするとき、

「一人艇に乗せてください」と生意気にもスキッパーである新谷さんに言ってしまったことを覚えている。

それに対して

「きっと二人艇にのったら、ふたり艇だから周れたんだね、って言われるもんな」と快諾してくれた。


そして、波が次第に高くなるにつれ、同時に後悔の嵐にさいなまれた。

そして、なぜ舟の墓場と呼ばれるのかも知ることになった。


あんなに風が強いはずなのに、波と波の間に居るとき、

突然シーンとして風の音もなくなる。それはとても不思議な空間だった。

波の山を登り、くだりを繰り返しているとき、

「私、何やってるんだろう?」としきりに思った。


実はそのときのカヤック、日本でバラバラに切って、

さらにチリで怪しい液体でくっつけたツギハギだらけの代物だったのだ。

直前まで固まらず、みんな焦った。

それが、こんなにも波に叩きつけられて、よく切れないなー、なんて

感心しながら、とりあえずパドルを水に入れるので精一杯。

出発してから交代できるかなーなんて浅く考えていたら、どこにも上陸できず、

9時間ほど連続で漕ぎ、もう自分がどこに行きたいのがわからなくなるほど、モウロウとしていた。



でも、大きな船では角度がついて航海できない海でも

背の低いカヤックは、なめるように進む、ということを痛感した。



いちばん海を近くに感じられて、そしてしなやかで、しかも強いシーカヤック。



「もう二度と乗るもんか!!!!」ってココロに誓ったくせに、

あの海の息づかいを感じると、ついまた乗ってしまうんだよね。



恐るべし、シーカヤックのポテンシャル。


こひろ談
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